王国ファンタジア【流浪の民】
『なんとなく』ってなんだ!

 ツッコミたい気分ではあったが、ベリルはスルーする事にした。

 小柄で細身ではあるが、整った顔立ちは女と見間違うという容姿ではない。

 美形といえば美形だけど……その上品な腰つきのせいだろうか?

 なとど、レジィはベリルを見て考えた。

 そうだ……この人は剣士なのに、どうしてこんなに上品なんだろう? しゃべり方もなんか、変だし。

 そんな事、ベリル自身にだって解らない。

 拾われた時には、すでにそれが定着していた。それ以前の記憶も無い。

 それを質問されてもベリル自身、答えようがない事である。

「……」

 そこまで踏み込んだ質問も失礼かな。と、レジィは口をつぐんだ。

「その時には、よろしく頼む」

 ベリルが笑顔でそう言った。それに、サレンスも笑顔で返す。

「こちらこそ」

 サレンスたちは、遠ざかるベリルの背中を見つめた。
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