薔薇とアリスと2人の王子
 宿を出るとき、クリストは相変わらず下っぱの仕事をしていた。

 目が合った時に軽く会釈をして、3人は宿を後にした。途端にヒンヤリとした冷たい朝の空気が肌を刺す。

 険しい草道を歩くこと数十分。あの塔に着いたんだ。

「朝見ても何だか不気味ね……」

 アリスは言いながら、塔の頂上まで這う蔦をいじっている。
 朝の目映い光はラプンツェルのいるてっぺんの窓を照らしていた。

 それを見上げていると、窓の中から細い声が。

「あのぅ~…アリスさん?」

「ラプンツェルッ!?」

「は、はい……」

 どうやらアリスの声に気が付いたんだね。姿は見えないけど、ラプンツェルは起きているみたい。

「話があるんだ。登ってもいいかい?」

「……えっ? で、でもぉ~。アリスさんならまだしも…キラキラした王子様に来られたら、私……光に弱いので~…」

「吸血鬼じゃないんだから……」

 ラプンツェルは慌てている様子だったけど、イヴァンとカールもアリスに続いて梯子を登っていった。

 相変わらず脆い梯子でヒヤヒヤしたよ。

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