薔薇とアリスと2人の王子
「俺もクリストは出来た男とは思えないがな」

 と、イヴァンの老婆と同じく重い声。

「あんなダメ男でも、ラプンツェルは好きなんだから仕方ないでしょう。お婆さん、何かドレス下さい!」

「ラプンツェルに着せるなら……これかね」

 老婆が引っ張り出してきたのは、淡い桃色の控え目なドレスでね。
 ところどころにレースがあしらわれていて、可愛らしい。

 カールが感嘆の声をあげた。

「これならピッタリだ!」

「この位ならあの根暗娘でも着れるだろうな」

「お婆さん、これ買います。お代はこの人から」

 カールに言われるまま、イヴァンは老婆に洋服に付いていた装飾品のひとつを渡した。
 老婆はニッコリして、店先までドレスを運んでやったよ。

「あの子を可愛くしてやっておくれ。クリストは嫌いじゃが、ラプンツェルは子供の様なものだからね」

 兄弟はドレスを抱え、老婆にお礼を言ってから衣装屋をあとにした。

 これでラプンツェルを着飾る洋服は手に入ったってわけだ。
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