薔薇とアリスと2人の王子
「やっと“この事”を言える――」

 ラプンツェルが呟いた。 独り言のようにその言葉は消えていった。

 やがて、クリストが到着してカールに支えられて部屋に入ってさ。

 ラプンツェルはまだ若干、緊張している面持ちをしていたよ。

「頑張ってね、ラプンツェル!」

「は、はい……っ」


 アリス達3人は、邪魔にならないようにベッドの上に腰かけた。

 といっても狭い塔の部屋――ラプンツェル達は目の前だったけどね。

「どうしたんだいラプンツェル、その格好――」

 クリストが始めに口を開いた。

「え、その……アリスさん達が……」

「そうなんだ……。僕はアンネお婆さんに呼ばれて来たんだよ」

「アンネお婆さんに!」

 これにはアリス達も不意をつかれた気分だったよ。

 ラプンツェルを塔に入れて育てた衣装屋の老婆の魔女が、気をきかせてクリストを呼んでくれたなんてね。

「侮れないな、あの老婆は」

「そりゃ魔女ですから。兄さんより気がききますね」

「こんな所で兄弟喧嘩を始めるつもり? しばらく黙っててよ!」

 ぴしゃりとしたアリスの一言で、また部屋は静まりかえった。
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