薔薇とアリスと2人の王子
靴の音をたてないように、アリスは慎重に螺旋階段を降りていく。少し前を城主のドナウアー氏が同じく階段を降りていた。
息をひそめてアリスが城主の動向を追っていると、彼は懐から薄暗い階段でもきらめく鍵を取り出したんだ。
(金の鍵……? あれが地下室の鍵なのね……)
階段は地下に到着した。
赤茶色に錆びた扉が不気味な雰囲気をたずさえていてさ。
ドナウアー氏が扉の鍵を開ける。彼はそのまま地下室に入ると、扉を閉めてしまったよ。
残念だけど、尾行はおしまいだ。鍵がないアリスは地下室に入れないからね。
(一回上に戻って隠れ場所を探していよう……。ロサ・アンジェラだけはなんとしてでも取り返さなきゃ……)
と、開かない扉の前で思ったときだった。
バン! と地下室の扉がアリスの目の前で勢いよく開けられ、城主がそこに立っていた。
「小さいお嬢さん。探検はもうおしまいだ」
ドナウアー氏は地を這うような声でそう言うと、顔面蒼白のアリスを地下室に無理やり引き込んだ。
ばたん、とアリスの背後で再び扉が閉まった。それがアリスには、この世の終わりのような音に、聞こえたんだ。
息をひそめてアリスが城主の動向を追っていると、彼は懐から薄暗い階段でもきらめく鍵を取り出したんだ。
(金の鍵……? あれが地下室の鍵なのね……)
階段は地下に到着した。
赤茶色に錆びた扉が不気味な雰囲気をたずさえていてさ。
ドナウアー氏が扉の鍵を開ける。彼はそのまま地下室に入ると、扉を閉めてしまったよ。
残念だけど、尾行はおしまいだ。鍵がないアリスは地下室に入れないからね。
(一回上に戻って隠れ場所を探していよう……。ロサ・アンジェラだけはなんとしてでも取り返さなきゃ……)
と、開かない扉の前で思ったときだった。
バン! と地下室の扉がアリスの目の前で勢いよく開けられ、城主がそこに立っていた。
「小さいお嬢さん。探検はもうおしまいだ」
ドナウアー氏は地を這うような声でそう言うと、顔面蒼白のアリスを地下室に無理やり引き込んだ。
ばたん、とアリスの背後で再び扉が閉まった。それがアリスには、この世の終わりのような音に、聞こえたんだ。