クロスロード
けど、部屋の掃除をした時に違う場所に移したみたいで行方が分からなくなっていたらしく……
そのCDが発掘されたみたい。
「でも、今日僕用事あるから、勝手に持ってっていいよ」
―――『用事』と口にした時、碧君は私の目を見なかった。
どうしたんだろう……そう思ったけど、聞くことはできない。
碧君にだって言いたくないことはあるだろうし、無理に聞いちゃだめだよね。
「うん、ありがとう。だけど私も今日用事があるんだ」
だからCDはまた今度でいいよ、と言おうとした時、碧君がそれを遮る。
「……ああ、そっか。そうだよね」
と、予定があって当然、みたいな納得の返事。
……あれ?もしかして峰さんの家に行く事を誰かから聞いたのかな。
「彰宏さんに聞いたの?」
「へ?」
「今日峰さんのお家に行くってこと」
「……は?」
切れ長の目を大きく開き吃驚する碧君。
え……私変なこと言った?
でも今日の予定はこれだけ。彰宏さんからも他には頼まれてないし……
「碧君、何でそんな吃驚してるの?」
「え、だって柚、今日は――、」
「あー!こんなとこにいたの橘(たちばな)君!」