クロスロード
突然響いた高い声に驚いて横を向けば、腰に手を当て仁王立ちしている女の子いた。
キッとこちらを睨み……というか碧君を睨んでいる。
そんな女の子を見た碧君は明らかに嫌そうな顔をした。
「文化祭の代表委員は昼休み集合よ!」
「いや、僕代表委員やるなんて認めてない!」
「しょうがないでしょ?クラスのくじ引きで当選しちゃったんだから」
そう言うとがしっと碧君のブレザーを掴み、女の子とは思えない力でズルズル引っ張っていく。
碧君は何か反抗していたけど、彼女に効き目はないようだった。
あっという間に碧君の姿は小さくなっていく。
……碧君、くじ引きで当選したならやるしかないよ……お疲れ様です。
既に見えなくなった碧君を思い呟いた。
「ていうか、結局アイツは何しに来たんだよ?」
「CDの件じゃないかな」
「お前って変なとこマイペースだよな」
「え……そうかな」
―――私はすっかり忘れてしまっていた。
碧君の言った『え、だって柚、今日は――、』の言葉も。
そしてこれが、何を示すのかも。
何も知らないまま時間は刻々と過ぎていく。
放課後は、すぐそこまで迫っていた。