クロスロード
「もういいよ。ていうか柚、ちょっといい?」
「私?」
碧君がどうして私達のクラスに来たのかなって思ったけど、私に用事だったのかな。
うん、と返事をして碧君の傍へ駆け寄る。
なぜか後ろから日高君がついてきたけど……
「いや、あーちゃんに用事はないよ」
「冷たいな、アオイ。一晩過ごした仲だろ?」
「は!?」
ピキッと音がしそうなくらい、一瞬で碧君を纏う空気が変わった。
勿論、それに気づきながらも笑顔の日高君。
こ、これじゃあ話が進まない。
「お、落ち着いて碧君。えーと、日高君いたらマズい話?」
「別にいてもいいけど……」
「じゃ、このままで大丈夫だよ?わざわざ教室まで来てくれてどうしたの?」
思いっきり不自然だけど、何とか話を聞く展開にした……つもり。
碧君は日高君をギロリと睨み、諦めたように溜め息を吐いた。
「あー、あのさ、柚が前に貸してほしいって言ってたCD、部屋から出てきたんだけど、」
「え、本当?」
少し前、碧君に欲しいCDの名前を言ったら『僕持ってるよ』と教えてくれた。