クロスロード
擦れた感触と袖口から伝わる体温がリアルに伝わる。
……どきどきとはちょっと違う。
ゾクゾクした感情が、頭から爪先まで支配した。
とん、と肩に触れた手。
重力に従ってスローモーションで落ちていく私の身体。
――ぼすっ
柔らかすぎて頭が沈み過ぎてしまう羽毛の枕。
ああ、そっか……ここ、スイートルームだもんね。
私の部屋とは大違いだな、と妙に冷静な脳内。
「ねえ、翠君」
「なに、」
目の先にいる翠君に向かって小さく笑う。
そっと腕を伸ばし彼の頬に触れてゆっくりと撫でる。
「いっぱい、愛して」
きっと翠君はドラマみたいなかっこいい台詞を言ってはくれない。
感情が表情に出ることも滅多にない。
翠君から私に触れてくれることだって、片手で数え切れる程しかない。