クロスロード

「――、好きにすれば」



そう短く呟かれた後、少し強引に重なる唇。

口端から漏れる自分の声に恥ずかしがってる間もなく、深く深く口付けられる。

くらくらする。頭が溶けちゃいそう。



「……んんっ、ふ、……っ」



キスに気を取られていたせいか、シャツのボタンが外されたことに気づけなかった。

ゆっくり唇を離されてから気づく妙な解放感。

薄暗いとはいえやっぱり恥ずかしい。

誘ったのは私、なのに、今更こんなこと思うなんて――



「っえ、」



フイに繋がれた手。

指と指と絡めた、一般用語でいうと恋人繋ぎのアレ。

吃驚して顔を上げれば「柚」、優しく名前を呼ばれた。



「怖い?」



……ううん、と答えればきっと嘘になる。

この先何が待っているのか、一度経験したくらいじゃ慣れるわけない。



でも、でもね

怖くないって思えるのは、きっと相手が翠君だから。

いつもは素っ気ないのにこういう時ばかり優しくするから、不安なんて消えてしまうんだ。
< 181 / 251 >

この作品をシェア

pagetop