クロスロード
「――、好きにすれば」
そう短く呟かれた後、少し強引に重なる唇。
口端から漏れる自分の声に恥ずかしがってる間もなく、深く深く口付けられる。
くらくらする。頭が溶けちゃいそう。
「……んんっ、ふ、……っ」
キスに気を取られていたせいか、シャツのボタンが外されたことに気づけなかった。
ゆっくり唇を離されてから気づく妙な解放感。
薄暗いとはいえやっぱり恥ずかしい。
誘ったのは私、なのに、今更こんなこと思うなんて――
「っえ、」
フイに繋がれた手。
指と指と絡めた、一般用語でいうと恋人繋ぎのアレ。
吃驚して顔を上げれば「柚」、優しく名前を呼ばれた。
「怖い?」
……ううん、と答えればきっと嘘になる。
この先何が待っているのか、一度経験したくらいじゃ慣れるわけない。
でも、でもね
怖くないって思えるのは、きっと相手が翠君だから。
いつもは素っ気ないのにこういう時ばかり優しくするから、不安なんて消えてしまうんだ。