クロスロード
「……怖く、ない」
ねえ、だから
いっぱいいっぱい、愛してください。
「好きだよ、翠君」
ぎゅうっと彼の首に腕を回して抱き寄せた。
シャツが肌蹴てるせいかいつもより体温が近い。
さっきの言葉、ちゃんと言えていたのかな。
本当は意識飛んじゃいそうなくらい緊張してて、心臓もバクバクなんだよ。
そんな私の心配を吹き飛ばしたのは
「俺も」
――耳元で囁かれた、吐息混じりの甘い声。
まるで薬のようなその声は私の身体中の力を奪い、呼吸さえもろくにできなくしてしまう。
私が瞼を閉じると同時に重なる唇。
視界を閉じる直前、立派な窓に映った月は、あの夜と同じ三日月だった。
けど決してあの夜とは違う。
幻にしなくてもいい。忘れなくても、いい。
私は翠君の傍に、いてもいいんだ。
繋がれた手に込められた力が、何よりの証拠。
かけがえのない、――証拠なのだ。