クロスロード
「……ごめん、なさい」
思い返せば――、謝罪をしたことが、なかった。
あの事件以来翠君を避けて避けて、避け続けて。
関わってはいけないと何度も忠告されて。
私を守ってくれたにも関わらず、何も言えないまま時だけが過ぎていた。
「傷を負わせちゃって、ごめんなさい……っ」
誰が本家?誰が仕える家系?
……こんなの、立場逆転だよ。
翠君の傍にいたのなら、私が彼をまもらなければいけなかった。
なのに私が守ってもらっている、なんて。
「っこの傷だけじゃない……神社の時だって、私……」
ぽた、と枕に雫が落ちる。
顔が横を向いているせいか、頬や鼻を冷たい涙が伝っていく。
泣いたって何も変わらないのに。
起きてしまった出来事は、決してなくすことはできないのに。
「ごめ、んなさ――……っ、」
ぐいっ
急に後頭部へ回された腕。
抱き寄せられたのは彼の首筋で、脈拍がしっかり聞こえてきた。
「なんで謝るわけ?」