アリスとウサギ

 テーブルでは

「バーなんてめったに来ないんです」

「学生の頃は安く飲めればそれで良かったもんなぁ」

 なんていう会話が繰り広げられている。

 アリスは会話に混じることはせず、ガラス扉の奥を眺めることで酔いに耐えた。

 隣のキャバクラでは、お客様が一組お帰りのようだ。

「アリスちゃん、大丈夫?」

 一言も喋らないアリスを気にかけてくれたのは直人。

「はい、ちょっと飲み過ぎたみたいで。休み休み飲みます」

 実際は結構辛いものがあったが、笑顔で応対できたことに安心した。

 会話はいつの間にか直人の友人の話になっている。

「一年の始めの頃だけ同じ大学に通ってたんだ」

「へぇ、じゃあそのお友達も私たちの先輩ですね」

「一年で退学してるからなぁ、微妙なとこだね」

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