アリスとウサギ

 アリスはそれを素直には信じない。

「何言ってんの?」

 ウサギは大学生。

 しかも自分と同い年。

 いくらネオン街で働いているからといって、そんな冗談には騙されない。

 そういう気持ちで強気な視線を送ると、隣に座っている直人が問いかける。

「啓介とアリスちゃん、知り合いなんだ」

 世間は狭いなぁ、という顔をしている。

 一方で奥に座っている早苗は、ウサギを知らないふりをしていたようだ。

 複雑な表情の彼女と目が合い、アリスは少し不安な気持ちになった。

「知り合いっつーか、大学一緒だし」

「ああ、お前再入学したんだっけ?」

「忘れてたのかよ」

 男同士の会話から、アリスは知らなかったウサギの情報を得た。

 同い年だと思っていたウサギは24歳で、このバーと隣のキャバクラの経営者。

 大学は一度辞めた後、アリスの入学と同時に再入学をした……らしい。

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