アリスとウサギ

 予想だにしなかった言葉にアリスは目を丸くした。

 散々もてあそばれて、胸を痛めて、傷ついているのは自分の方だと確信している。

 なぜ加害者であるウサギが傷ついているのか。

 アリスには何の考えも浮かばないのだ。

「ウサギが傷ついてるわけがないじゃない」

 早苗は少し険しい顔になった。

「今までアリスの話しか聞いてなかったから、あたしも酷い男だとしか思ってなかったのよ。でも合コンの日のウサギを見てたら、アリスのこと好きなんだなって伝わってきたもん。ホントに付き合ってんのかと思ったし」

 アヤといい、早苗といい、なぜウサギの気持ちを自分に結びつけたがるのか。

 無責任に彼を押しつけられているような気持ちになった。

 まるで両思いと噂される男女をやたらとくっつけたがる中学生のようだ。

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