アリスとウサギ

 平日だからか、先日よりも人の通りは少ないようだ。

 店先に立っているボーイやホステスも多い。

 きっと店が暇なんだろう。

 見覚えのある電球の埋まった階段を見つけると、昇る先にガラスの扉が見えた。

 その隣に、重量感のある扉。

 看板に明かりもついているし、ウサギが入院していても滞りなく営業されているようだ。

「行くよ」

「……うん」

 ドキドキというよりはハラハラしながら階段を上る。

 躊躇のない早苗の足取りは速い。

 彼女はアリスが階段を上り終える前にガラスの扉を開けていた。

 チリンチリンチリン……

 涼しいドアベルの音がして、その直後。

「いらっしゃいませ」

 アヤのセクシーな声が聞こえた。

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