アリスとウサギ

 ベッド脇の椅子に腰掛ける。

「どうなのよ、具合は」

 ぶっきらぼうに問いかけると、

「まあまあ」

 と返ってきた。

 顔色もいいし、無精髭はワイルドだし。

 入院が予定より一日延びた理由がわからない。

 知る必要もない。

 アリスはとりあえずウサギにプリンを手渡した。

「昨日……ホントにアリスだったのかよ……」

 昨日ドアの前に放置したのと同じプリン。

 今更隠すこともないかと、わざと同じものを購入したのだ。

「お取り込み中だったみたいだから、邪魔しないように帰ったの。ごめんなさいね、声もかけなくて」

 気まずさ故に、トゲのある言い方をしてしまう。

 ウサギはため息をつきながらプリンの箱を開封した。

「何よ、プリンじゃ不満?」

「ちがうよ。アヤが言ってたこと、正しかったんだなって思ってさ」

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