アリスとウサギ

「ちょーうめー」

 わざとバカっぽく言うウサギに呆れ顔を見せながら、不覚にも嬉しくなってしまう。

「当たり前でしょ。美味しいお店で買ってきたんだから」

「さすがアリス。イイ女はひと味違うね」

「はいはい。口が達者ですこと」

 ウサギの口にもう一度プリンを入れる。

「本気なのに」

「どうだか」

 こいつの「本気」は信用できない。

 疑いの目を向け、カラメルを混ぜたプリンをウサギに差し出す。

「あんたの言うことは、何が嘘で何が本当なのかわかんないのよ」

 愚痴のように漏らすと、プリンを飲み込んだウサギがアリスからプリンの瓶を抜き取った。

 それを一旦台へ乗せ、アリスの左手に自身の右手を絡ませる。

 右手に透明スプーンを握ったままのアリスが、ドキドキしないわけがない。

「アリスには……できるだけ本当のこと言ってるつもりだけど」

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