アリスとウサギ

 指と指の間をキュッと握られると、心まで握られているような気がする。

 アリスはいつものように「やめてよ」と振り払うことができなかった。

 いつもとはシチュエーションが違いすぎて。

「すでにそれが嘘なんじゃないの?」

「疑り深いな。良いことも悪いことも言葉と態度で正直に示してんだろ」

 その結果が自分に対するイタズラだったり、ファミレスに女を連れて来ることだというのか。

「あんた一体、何がしたいのよ……」

 ため息をつくとウサギの右手が微かに動いた。

 ウサギは寂しい表情をして目を伏せた。

「最近なら、お前を忘れたい」

「は?」

 忘れたいのはこっちの方だというのに、何を言い出すんだこのヒゲウサギは。

 思わず聞き返すと、ウサギは少し不機嫌な顔でため息をついた。

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