アリスとウサギ

「こっぴどく振られたお前なんか、さっさと忘れたいの」

「何言ってんの。別に振ってなんか……」

「俺といると傷つくだの何だの言ってくれたじゃねーかよ」

 確かに初ゼミの飲み会の日、そんなことも言った。

 こっぴどく振ったつもりなんて微塵もなかったのだが。

 自分をセフレにでもしようとしていた彼への、イヤミのつもりでしかなかったし。

「待ってろっつっても先に帰るし、ああ俺すげー可哀想」

「あのね、可哀想なのはあたしの方よ。あたしの方こそ忘れたいのに、ちょくちょく現れるし」

「ちょくちょく現れてんのはアリスの方だろ。まさか店にまで来るとはな」

「世間が狭かったのよ」

「おかげで年はバレるわ仕事もバレるわ……」

「隠すことないじゃないの」

 指を絡めたまま、二人の言い合いはヒートアップしていく……。

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