アリスとウサギ

「隠してたつもりはない。直人の口からバレたのがイヤだったの」

「直人さんは悪くないでしょ?」

「いや、あいつは結構悪い奴だよ」

「あたしには良い人だったもん」

「お前な、あの日俺が引き離してなかったら絶対どっかで突っ込まれてたぞ」

「突っ込むとか言わないでよ」

「マジだっつーの。あいつ、女なら腐るほどいるし」

「ウサギじゃあるまいし」

「俺より酷いよ。女に貢がせてんだから」

 信じられない話に、アリスは腹が立ってきた。

 論点がずれているのには気付いていたが、ウサギには負けたくないという気持ちが働き、ついつい言い返してしまう。

「あたしには貢ぐ金なんてないし、それもわかってるはずでしょ」

「だから突っ込んで終わりだろ。そんな男が好みなのか?」

「そんなわけないから、あんたの誘いを断ったんじゃないの」

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