アリスとウサギ

「あー、もう知らねぇ。お前なんか直人に食われてしまえよ、めんどくせー」

 ズキッ……

 鈍く痛み出す胸。

 アリスはするりと繋いだ左手を抜いた。

「そうね。いっそのことそうなれば楽に忘れられるかも」

 言いながら台のプリンをすくい、ウサギの口元へ運ぶ。

 素直に食べたウサギは、不機嫌な顔のまま。

 せっかく美味しいプリンだというのに。

「さっきから疑問だったんだけど、あんた、あたしのこと好きなの?」

「疑問? 今更?」

「いいから答えなさいよ」

「……さあな。自分でもわかんねぇ」

 プリンを最後まで口に運び終わり、空き瓶に蓋をして箱に詰め直す。

「じゃあどうして忘れられないの?」

「お預け食らったままだからじゃねーの?」

 ぶっきらぼうに目を細めて答えたウサギ。

 広い二重の幅がまぶたに陰を作る。

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