幸せのカケラ
ビックリした。

この、折れそうなくらいに細い身体のどこに、別腹があるのかと不思議に思ったんだ。




「でも、混んでるかしら」

「行ってみて満席なら、その時にまた考えればいいよ」


君はちょっと首を傾げて、それから、それもそうねと笑った。











運良く、席は一つだけ空いていた。


良かったと、胸を撫で下ろした君。

だけど、僕達の後に入って来た若いカップルが、満席だと店員に対応されているのを見て、申し訳なさそうにしていたけれど。



「早い者勝ちだよ」


そう言った僕に、君はちょっと困った顔をしていた。

君らしいと、心中で笑った。





ディナーのコースを二名分注文した。


それと、ワイン。

辛口が苦手な君に合わせて、マスカットベースの甘口をハーフボトルで。



僕達は、あまりアルコールに強くは無いから、身体を温める程度で充分だった。







「そういえばね、昨日、美咲から電話があったの」

「君の親友の?沖縄にいるんだよね」

「彼女、子供ができたんだって」




君は親友の幸せを、自分の事の様に嬉しそうに語る。


そんな所も、君の良い所だ。
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