幸せのカケラ
「女の子だったら、うちの娘のおゆずりで良ければ送るわよって言ったら、喜んでいたわ」

「おゆずりでもいいの?」

「子供はね、おゆずりがいいのよ。生地が柔らかくなるから、肌への負担も新品よりいいんだから」

「そうなんだ」



そういえば君は、娘の新しい服は、洗濯してから着せていたな。




考えると、君は色々と手間をかけている気がする。




僕のスーツのしまい方にしてもそうだし、ワイシャツの洗い方にしてもそうだ。

靴下のたたみ方さえも綺麗だし、何より僕のハンカチは、素晴らしい程に皺一つ無い。



一番素晴らしいのは、それを当然の様にこなす君だけれど。







「美咲さんが出産したら、会いに行ってみたら?」


僕の提案に、君は驚いたみたいだ。


食べかけのメインディッシュ、仔牛のステーキを運んでいた手を止める。





「だって沖縄よ?遠いもの」

「かまわないよ。頻繁に行ける距離では無いから、そんな時じゃないときっかけが無いだろう」

「いいの?」

「いいよ?」



ステーキを頬張りながらうなづいた僕。

君は、ありがとうと笑う。


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