恋せよ乙女
いや、確かに今の話を聞いた瞬間は、また生徒会関係か、とか思ったけれど。
“どうせ誰かと行かされるなら紫音と”
ただ純粋に、そう思ってくれたことが嬉しい。そこであたしを思い出してくれたこと、あたしを選んでくれたこと、それだけで十分な程に。
「迷惑なんて、そんな。氷室さんがあたしを誘ってくれて嬉しいです。」
「そう。……なら明日、遅刻しないでよ。」
「任せてください!」
クスリと笑みを零したのち、優しくあたしの頭に触れた大きな掌。そしてあたしにゆっくりと背を向け、歩きだす。
向けられた背が見えなくなるまで見送ったはずなのに、心臓はドクンドクンと、未だ大きな音を立てていた。