恋せよ乙女
「おっはよーございますー!」
土曜日、騒々しい駅の北口。
約束の時間の1時間は前に到着していたあたしは、9時50分に待ち合わせ場所に現れた氷室さんを出迎える。
「相変わらず、朝から元気だね、キミは。」
「あれ、それは褒め言葉ですか?」
初めて見た氷室さんの私服姿は、思いの外カジュアルで、格好良くて。思わず照れてしまったのを隠すようにそう言い、あたしは口を噤む。
そして改めて捉える、氷室さんの服装。
シンプル過ぎず、派手過ぎず。その服装に彼のセンスの良さが窺え、シンプルにまとめすぎた自身の服装を少しだけ後悔した。
「…ん?どうしたの、紫音。」
「あ、えと…。いいえ!時間勿体ないですし、早く行きましょ!」
「あぁ、うん。」
まさか、氷室さんに見とれてました。だなんて、さすがに言えない。ごまかすように氷室さんの手を引き、街へと繰り出した。