恋せよ乙女
そして、古びている割に頑丈で、しっかりしている資材置場のドアに手をかける。
ギィーっという重たい音を出してドアが開くと、開かれたドアの隙間から漏れた冷気が全身にぶつかった。
窺うように中に踏み込んでみれば、外とはまるで別世界の寒さが体に纏わり付く。だから思わず、「寒っ。」だなんて、ありきたりな独り言を零したりして。
だけどそんなことなど気にせず、開けたままのドアから差し込む光を頼りに、薄暗い奥へと進んでいく。
そして一番奥にある棚の空きスペースへ、持っていた箱を収納した。
「……これで良し、っと。」
とりあえずこれで頼まれ事は終了。
一息つくように大きく息を吸い込めば、冷たい空気が肺を満たす。
それをゆっくりと吐き出している最中、教室で世奈を待たせていることを不意に思い出し、早く教室に戻ろうと出入口へ踵を返した。