恋せよ乙女
「………誰?」
「ふふっ。ごめんね、加藤さん。後で誰か助けに来させてあげるから、少しだけここに居てちょうだい。」
掠れた声で紡いだ問い掛けに、ドア越しで淡々と述べられた回答。
理解しがたいことを言われているのはわかっているけれど、今のあたしは紡がれた言葉云々よりも、聞き覚えのある声に不安を煽られた。
だって、その声は――…
「……鈴木さん、なの?」
あたしの記憶力なんてたかが知れてるし。
その推測に、確証なんて無いけれど。
でも、確証なんて必要無かった。
ドアの向こうに居るのは間違いなく鈴木さんであると、先日の鈴木さんの発言を考えてみれば、疑う余地も無かったから。