恋せよ乙女
「鈴木さんなのね。どうしてこんな…っ」
ど う し て こ ん な こ と を す る の?
そんなこと、わざわざ聞かなくてもわかっていたのに。
「どうして?…前にも言ったでしょ。あなたに恭君は渡さないって。あなたがウロウロしてると、凄く邪魔なのよ。」
そして案の定、冷たく言い放たれたほぼ予想通りの言葉に、あたしは俯いて唇を噛み締める。
「いつまでも彼女面されると、私にとっても恭君にとっても迷惑だわ。」
次々に発される言葉は、どれもあたしの心に傷をつけていくだけで。
氷室さんの言葉だけを信じよう、そう思っていたはずなのに、次第に沸き上がる疑念や不安は抑え切れそうにもなかった。
「だから静かに、ここに居て。これ以上私の邪魔をしないで。」
もう、鈴木さんの言葉も、彼女が遠ざかっていく足音も、あたしの耳には届いていない。
ドアに凭れかかりながら、まるで力が抜けたようにその場に蹲った。