恋せよ乙女

学校前のバス停からバスに乗り、駅の方へと向かう。学校全体で一斉に下校となるからか、普段より若干混み合う車内。

吊り革を頼りに缶詰状態のバスに20分程揺られた後、ようやく目的のバス停へ到着した。


「……さて、と。んじゃ、とりあえずブラブラしよっか。」

「うわ。誘ってきたクセに無計画ー。」

「突発的だったんだから仕方ないでしょ。」


そんな会話を交わし、世奈は口を尖らしながらあたしに背を向ける。でもそれが、ある種の演技だとわかっているから、あたしはそっと世奈の横に並んだ。


「ふふっ。ブラブラでも何でもいいよ。だから早く行こう?」

「…ん。まあ、そうね。」


目的を持った行き先はない。
けれど、世奈と他愛のない会話をしながら過ごすことで、段々と気持ちは落ち着いてきて。起こった出来事一つ一つを、徐々に整理することができるようになってくる。

でもそれと同時に、切なさが込み上げた。
< 243 / 396 >

この作品をシェア

pagetop