恋せよ乙女

「………あ、思い出した。ココってよく、新聞にチラシ入ってる店だよね。
……んで?ココがどうかした?」


時間にして数秒、何かを考えるように口を噤んでいた世奈は、思い出したようにそう口を開いた。

そして不思議そうにあたしを見つめたまま問い掛けてきた世奈に向けて、あたしはゆっくりと口を開く。


「この店……。この前、買い出しに付き合ったとき、ココでケーキご馳走になったの。すっごい美味しくて、丸くてクリーム入ったやつ。」


たった2週間前の出来事なのに、すごく昔のことのように思えるのは何でだろう。

でもそれに反して、あの日の店内での会話や様子が、鮮明に頭の中に蘇ってくる。

早まる動悸を必死に抑えようとしていた最中、「へぇ。……って、えぇっ!?」という、世奈の素っ頓狂な声が鼓膜を刺激した。
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