恋せよ乙女

「え……?」


何、それ……。

この店がそんなに有名だったことも、そのケーキがそれ程貴重だったことも、あたしにとっては初耳だ。

「貴重さを知らずに食べたなんてもったいない。羨ましいー。」とか、世奈がボソボソ言っているのなんて構うことなく、脳内では物凄いスピードで今までの言葉を整理していく。そして遂に、一つの仮説を叩き出した。

でもまさか、そんな――…
自惚れかもしれないけれど、考えれば考えるほど、そうとしか思えなくなってくる。

そしてそれを裏付けするかのように、世奈がゆっくりと言葉を紡ぐ。表情に、あたしを安心させるような優しい笑みを湛えて。


「会長、何となくその店に入った訳じゃなくて、ちゃんとあんたのために、ココに来ることを予定してたのよ。」


そんな世奈の言葉で、あたしがたてた仮説は一気に現実味を帯びた。
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