恋せよ乙女
「それに、自分だって病み上がりで全快って訳じゃないのに、わざわざ僕の家まで看病しに来たりしたんだよ。」
そう言って会長は、何かを思い出したように控えめにクスリと笑みを零した。その笑みにさえ見覚えがあるような気がしたけれど。それよりあたしは、会長の発した言葉が何故か脳裏に引っ掛かった。
――そして刹那、
“大体、キミだって病み上がりの身だろ。また僕のが移ってぶり返したら、色々と面倒なんだよ。僕は他人の看病なんて、二度とごめんだ。”
不意に浮かんだ、浴びせられた言葉。
何か知らないけれど、そんなキツイことも言われたかもしれない。
…だけどあれ?やっぱりよくわからない。
あたしが風邪引いて、何故か会長に看病されて?
で、その風邪が会長にうつって、あたしが看病しに行った?
―――ズキン、
徐々に思い出していく記憶に、また強い痛みが脳内を駆け巡った。