恋せよ乙女
その表情があたしに訴えていること――…
―――ああ。
別に深く考える必要も、変に怖れる意味さえ、最初からなかったのかもしれない。
だって、それが向けられているのはあたし。
会長のあたしを見る瞳が、話の中の女の子があたしであると、最初からそう告げていたのだから。
会長が一瞬、口を噤んだことで訪れた刹那の静寂。時間にしておよそ数秒、気持ちばかり長く感じたその合間に、伏せがちだった視線を少しだけ上げた。
「……ずっと、さ。わからなかったんだ、僕は。人を好きになるってどういうことか。それがどういう変化をもたらすのか。」
再び話し出した会長の視線は、回想するかのように数往復宙を彷徨った後、ピタリとあたしの視線とぶつかった。