恋する受験生
足早にゲーセンを出た俊。
振り向いた俊が、まだ怒った顔して私を見る。
「てか、信じてないよな?」
「何が?」
立ち止まった俊は、マフラーを口元まで巻いて困ったような顔をした。
「だから、さっきの!アイツらが言ったこと、嘘だから!!」
「前から知ってるから大丈夫だよ」
私の返事に、俊は戸惑いを隠せない表情をしていた。
スタスタと歩く私。
俊はまだ立ち止まったままだった。
「ちょっと待てって。何、それ。そういう意味?」
「俊に会いたくて、前にもここに来たんだよ。そしたら、俊はかわいい女子高生にぬいぐるみを取ってあげてた。俊はゲーセンで女の子をゲットする、みたいなことを友達が言ってた」
俊の顔を見ていると、あんな出来事がもうどうでもいいって思ってしまう。
弁解しようとしてくれるだけでいい。
俊の困った顔、チョーかわいいし。
「違うって!!まじで違うから!!」
「別にいいよ」
「だから、違うんだって。ちゃんと話聞いてくれよ」
私の腕を掴む俊。