【短】キミ、幽霊ですけど!?
「な、ナツ! あのね、あたしっ!!」
「お取り込み中、すみません」
今まで黙っていた、ケン君の声に、あたしの声はかき消される
「ナツって、ゆり先輩の元彼ですよね? でも、事故で亡くなったって聞いたんですけど?」
「…そう、だよ。 でも、ナツはここにいるの! 幽霊になったけど、まだここに…」
あたしは、ナツを指さしてそう言った
ケン君は一瞬、困った顔をしたけど、"そうですか"と呟き、また話し始めた
「では…ナツ先輩、僕は…。」
「まって、ケン君」
ケン君の話を遮るのは、ナオの声
「ケン君、向きが違うから」
「え…?」
ケン君は今、ナツに横顔を見せるような格好でナツに話しかけていた
体の向きをナオが教える
「あ、そうですか! ありがとうございます」
「いえいえ。どうぞ続けて」
「えっと、ナツ先輩、僕は…ゆり先輩のことが好きです。ナツ先輩がまだ生きているときから、ずっと好きでした」
………そ、そうなんだ、ケン君