レクイエム
「…やるな」


アレスが呟いた。
次いでありがとう、と答えるセフィア。
クーラは目を見開いた。
容姿の整った可愛らしいお嬢様が、あの魔族をあっさり倒した…?


「もしかして今の、セフィアが…?」

「はい。」


彼女は手をかざす。そよ風が頬を撫でたかと思うと、その手のひらに収束しているのに気付く。
それは圧縮に圧縮を重ね、目に見えるほどの風。


「…私は風の魔法を使えます」


手のひらを握るとその風はふっと消えてしまった。

──魔法使い。
このリヴェイラでは25年程前まで、大々的に魔女狩りが行われていた。
魔法を使える物は魔族と内通しているとあらぬ疑いを掛けられ、忌み嫌われ、徹底的に排除された。
その為、今となっては魔法を使える者はごく少数だ。それも僅かに火を起こしたり、明かりを灯したり、そんな生活を少し便利にする些細なものが多い。

しかしセフィアはどうだ。
あの魔族を絶命されるだけの強い旋風を発生させた。明らかに実戦で使えるレベル。彼女がこんなに強い魔力を秘めていた事に驚いた。今まで知らなかったのだ。
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