レクイエム
グゴオオォォォ…


それは鳴き声を上げ新しい玩具を見つけた時の子供のような、不敵な笑みを浮かべた。
のそり、のそり。
鈍い動きでゆっくりと近づいてくる。


「とっとと魔界に帰りなさい」


額に汗を浮かべながら警告する。
しかしレッサーデーモンが言う事を聞くはずもなく、依然歩き続ける。
どうやら武力行使しかないらしい。
魔族相手に素手では渡り合えない。右手に意識を集中させ、自らが愛用する大剣をイメージする。少しずつそれは形を成していき、武器の具現化に成功した。

一度それを振るい両手で構える。先ほどの激突で体がダメージを負っていて、どこまで戦えるか分からない。そもそも人間と魔族では力の差がありすぎる。レッサーデーモンは下級魔族ではあるが、それでもその力は馬鹿にできない。
ギリ…と歯を食いしばり、駆け出した。

ナキが動き出したのに反応して、レッサーデーモンが火の玉を繰り出す!
信じられない光景にぎょっとした。


「詠唱もなしにあんな魔法撃てるって言うの!?」
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