レクイエム
迎えに来た仲間は６０人中約２０人ほど。
そんな大人数が宿の一室に入りきれるわけもないので、宿屋前に集まった仲間のもとにナキが出向く形になった。


「お頭、迎えに来やしたぜ！」

「風の噂でレッサーデーモンが出たって聞きやした」


仲間達が口々に心配の声を上げる。ナキの無事な姿を見て、皆嬉しそうに表情を緩めた。

ただジレナフだけは堅い表情でナキを観察する。


「嬢ちゃ…お頭、怪我してるな。クレンスの奴が見えないがどうした？」

「っ…」


一番触れられたくない所を突っ込まれてドキッと心臓を跳ねさせた。
さすがジレナフだ。鋭い、と感心する。
何とか動揺を悟られぬように、ゆっくりと息を吐き出して口を開く。


「彼なら昨日レッサーデーモンに襲われて重傷よ」

「クレンスさんが！？」

「ほぉ…」


仲間達はどよめき始め、不安な表情を浮かべた。
その中でジレナフだけが、仁王立ちでナキの瞳を射すくめている。彼女の言葉に嘘はないか、吟味しているかのように見える。
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