レクイエム
「まぁいい、アジトに帰るか。おい、数人でクレンスを迎えに行ってこいや。何号室だ?」

「305号室」

「了解!」

ジレナフの傍の3人がすぐに宿屋の中に消えて行った。
クレンスだけでなく、アレスも部屋に残しっぱなしなのを思い出してややこしい事にならないか少し心配になり、今まで自分がいた部屋の窓をチラリと振り返った。


「どうしたんだお頭?何か問題ありそうじゃねーか」

「別に何でもないよ」


もう10年以上も傍にいるのだ、観察力のあるジレナフなら彼女の様子が普段と違う事くらいすぐ分かる。
いつも問題事を1人で抱え込む傾向にあるので、普段と少しの挙動の違いも逃すまいと何度となく気にかけてきた。
ジレナフにとっても娘のような存在だ。それだけに彼女の事が心配で仕方がない。


「何かあるなら言え」


ただ、それを表に出すことはなく低い声で威圧するように聞いた。
2人の不穏な雰囲気に、海賊一同は息を呑む。
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