レクイエム
まるでセフィアの周りにぱぁっと花が咲いたかのように空気が華やかになる。頬を紅潮させ、本当に嬉しいのだと全身で表現する。
旅費の負担をしてもらうのが申し訳ない。


「アレス様、ありがとうございます」



「俺は知らん」


助けてくれたアレスに対し、礼を述べる。アレス本人はまた調子が狂うようで、素っ気ない態度を取った。セフィアはそれも気にしていないようでずっと頬が緩んでいる。


「ではクー姉様、早速出発のご準備をなさってください」

「え、こんな朝から?」

「はい。急いで下さい」

「えぇ…?」


先程からずっと引っかかっていた違和感。
セフィアがずっと切羽詰まってるような様子。
てっきり自分と旅に出たいと懇願することに一生懸命なものだと思っていた。しかし了承してからもこの焦りようは何だろう。


「俺はいつでも出れるぞ」

「あたしも一応…このまま出れるけど…」

「では今すぐ出ましょう」


言うが早いか、セフィアは鍵を開けてさっさと部屋を出てしまった。
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