レクイエム
「どうしたんだろう…」

「知らん。置いて行かれるぞ」


アレスはソファから起き上がり、彼女の後を追って歩いて行った。部屋に1人残されたクーラは疑問が残るばかり。
ぼーっとしていると本当に置いて行かれそうなのでクーラは上着を羽織り、早足で2人の後を追った。
まだ使用人達は起きていないようだ。廊下が薄暗く活気もない。
そして彼女が案内する方向は玄関とは全く別の方向。何故かセフィアが纏う空気が重々しく、話しかけてはいけない気がした。クーラもアレスも黙って彼女の後を歩く。

しばらく屋敷の中を歩いて、案内されたのは裏口だった。
ゆっくりドアノブを回し、扉を開く。目の前には手入れの行き渡った薔薇の園が広がっている。
セフィアは一歩外へ踏み出し、2人も続いて外に歩き出した。皆が出たのを確認すると、彼女は扉を閉じた。


「ゲートに向かうんですよね?」


ここに来て初めてセフィアが口を開いた。
足は止めないまま、顔だけ後ろの二人を振り返っている。


「うん。でもゲートの場所が分からないから…」


だから、シルフォニアで調べるつもり、と歯切れ悪くクーラが言いかけた時。


「北です」


セフィアがはっきりと言い放った。彼女に似つかわしくない厳しい口調で。
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