真実の鏡
「俺も先輩から聞いた話なんだが…。昔、あそこには鏡があったらしいんだ」

「鏡…ですか?」

「ああ。この学校が建てられた時に、創立者が友人から記念に贈られた鏡らしい。アンティーク物で、結構キレイなものだったらしい」

「アンティーク…ですか。また珍しいですね」

「ああ。だから生徒に見せる為に、あの踊り場に飾られたそうだ。でも数年前に校舎は建て直され、その後は鏡は無かったって話だ」

「無かった? 盗まれたとかでしょうか?」

「さあな。でも当時はちょっとしたウワサになってたそうだ。あの鏡…普通の鏡じゃなかったようだし」

「普通の鏡じゃなかった?」

「ああ…。あの鏡には、生きた人間以外のモノが、時々映っていたらしい」

カルマの後ろにいたクラスメート達から、か細い悲鳴が上がる。

「だから無くなって、ほっとする生徒もいたらしい。誰かが盗んだか、あるいは割ったか…。それともどこかへ移動したか分からないが、あってもイヤだよな。そんな鏡」

「そう…ですね」

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