代償としての私の特殊な能力
主人公がドアを見ると、そこにはアールがいた。
その瞬間、テレビのチャンネルを替えるように映像が切り替わった。
わけもわからないまま、切り替わった映像を見ていて、主人公が替わったんだと気づいた。
主人公の視線の先にはベッドがあり、横たわる人もいる。
(間違いない。新しい主人公は、アールだ)
ふいに映像の中の私を隠すように、美沙子さんが現れた。
シィーッとばかりに口の前に人差し指を立てている。
そのまま美沙子さんは主人公を連れて、ドアの外に出た。
美沙子さんは主人公の手を取って廊下を進み、自販機が並ぶラウンジに主人公を引っ張り込んだ。
そして、いっしょに長椅子に腰掛ける。
美沙子さんが一方的にしゃべっているように見える。
音声が届かないのが悔しい。
解読しようと唇の動きを見るがわからない。
でも、最後に確かめるように「いい?」と言ったのだけはわかった。