戀々 -ren ren-


相川くんと別れ、独身寮の駐車場を出た。


実はさっき寮を出た時に、隣のマンションの前で里緒に似た人を見た気がした。


が、すぐに自分の愚かな考えを改めた。

車を走らせて10メートルで彼女の面影を探してしまうなんて……先が思いやられるぞ。



しっかりしろー!俺!

























----



「ほんまに良かったんか?
会わなくて…」



「…先が思いやられますよね!
会わないって決めたそばからこんなんじゃ……」



「まぁ……。
手紙はちゃんと渡したからな」


「…ありがとうございます!」



「いい笑顔や。
どや?青柳もいなくなったことやし次は俺と恋愛するか?」



「来世で青柳さんと出会わなかったら、ちょこーっとだけ考えてあげてもいいですよ!」


「相変わらずあいつ以外には厳しいなぁ、里緒ちゃんは!」



「魔法にかかってますから!」



「魔法?」


「そう!魔法です!」


にこっと笑いながらも彼女の顔は憂いに満ちている。

彼がかけた魔法はそう簡単には解けないらしい。



----


.
< 102 / 112 >

この作品をシェア

pagetop