夜  話  
「そんな口をきくような奴が、この庭園に佇んでいるなんてな。」


その庭の持ち主が、この国ではある高貴な身分とされている人物である事を、俺は知っていた。


そして、そこにはこの女のような口の聞き方をする奴は相応しくないと言われるであろうことも。


「いいんだ。」


相変わらず俺ではなく空を見上げながら、女は言った。


「あの方の前でないなら、綺麗なわたしである必要はないからな。」


そして、松林の奥にちらりと目をやった後、小さなため息をついた。
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