夜  話  
「未だ来られぬ……………か。」


ぽそりと呟いた女は、ふたたび空へと視線を戻し口を開いた。


「わが君は、わたしを本当に厭うてはいないのだろうか?
わたしを望むと囁いてくれたのは、わたしを憐れんでの事なのか?
それとも全てが、わたしの願望が見せた夢幻であったのだろうか?」


ただ空の一点を見つめながら言う女の表情は変わらずだったが、俺の眼には、ほろほろと涙を流している女の姿が見えるような気がした。


「………何を泣いている?」
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