夜  話  
そう言うとふたたび女は夜空を見上げた。


「月が……………。」



吐息が零れるかのように、女の口からするりと抜け出た言葉につられて、俺も空を見上げた。


はち切れんばかりに太った満月は、その光を存分に地上へとふりまきながら、中空へと移動している。


「あの枝に月がかかるまでにはと……あの方からの文には、したためられてあったのに………。」


ほろりと。


その白い頬に光るものを流し。



女はうつむいた。
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