夜  話  
「あの方に尽くす事もできぬと言うのならば。

何のための化粧か。

何のための黒髪か。

誰がために。

美しくあれば良いのか。」


月の光に照らしだされた白い庭で、女はそう言いながらほろほろと。


水晶のような涙を降らせた。


「それだけ美しいお前ならば、望んでくれる相手は他にいくらでもいるだろう?」


ひどく悲しむ女の姿に、俺はつい、そんな言葉をかけた。


時の帝に望まれたとしても、不思議はないほどに。


その女は美しかった。
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