夜  話  
「時の帝の不興を買い、都落ちしたプライドばかりが高い、哀れな貴族だったよ。
あの女が尽くすには、あまりにも格の低い男だった。」


わたしに触れる皎の指の心地よい冷たさに、心持ち甘えるように自分からも顔を寄せ、わたしは皎に尋ねました。


「“想うは自在”………っていう言葉は深衣さんが………?」


しかし、その答えはすぐには返ってきませんでした。


寄せたわたしの頬に指を這わせ、感触を確かめるように何度も何度も、行き来させて。


何かを言いだしあぐねているような皎の態度に、わたしは更に言葉を重ねました。
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